マダムX、そして新たな謎の人物
父ちゃん、あたち今朝素敵な人に出会ったのよ。
なんだと、どこのどいつだ。父ちゃん許さんぞ。
ちがうわよぉ。お散歩のとき、レジ袋を持ったおじさんが前から来たでしょ。
ああ、あのおじさんな。
父ちゃんも十分おじさんじゃないの。それはいいとして、その人時々しゃがんで何かを拾ってたでしょ。
ああ。
すれ違うとき袋の中を見たら、なんと、ごみでいっぱいなの。あの人、ごみを拾いながら歩いていたのよ。ああいう人がもっと居るといいのにね。
そうだな。父ちゃん、お前が踏みそうなガラスのかけらとかお前が食っちゃいそうなお菓子のかけらとか、お前がもぐもぐしそうなタバコの吸殻とか、お前が・・・
もう、父ちゃんやめてよ、はずかしい。
これからは、あたちのためだけじゃなくって、みんなのために目に付いたごみは拾って頂戴ね。
ああ、なるべくそうするよ。謎のおじさん、ありがとう。おかげで公園がきれいになりました。
今朝はもう一人、素敵な人に会ったのよ。
だれだ、今度こそ許さん・・・
この前ボールをいただいた謎のご婦人よ。これからはマダムXとお呼びするわ。
マダムXは世に言う美魔女なのょ。
ほぅー。
それでねぇ。マダムが焼いた食パンをいただいたの。ねえ、父ちゃんあたちにも食べさせて。
ダメ。人間のパンはお前は食べられないの。父ちゃんもう、トーストにしていただいたけどな。とってもおいしかったぞ。マダムX、ありがとう、ご馳走様でした。
あたちも食べたぁーいー。
お前はスイカで我慢だ。こら、父ちゃんの指まで食うな。イデー。